convert_chars()
は、WordPress のテキスト整形処理の一部で、入力された文字列中の特定の ASCII 文字や、従来の数値文字参照(ASCII コード表現など)を、適切な HTML エンティティや UTF-8 文字(例:スマートクォート、エムダッシュ、NDash など)に変換します。
これにより、Web ページ上でのタイポグラフィが向上し、ユーザーが読みやすい出力が得られるようになります。
基本構文
関数の基本的な呼び出し方はシンプルで、通常は直接エコー出力するのではなく、フィルターとして利用されます。
// 例: テキストに含まれるシンプルな引用符などを変換する場合
$text = "He said, \"Hello, I'm here!\"";
$converted_text = convert_chars( $text );
echo $converted_text;
上記のコードは、入力されたテキスト内の通常の引用符やアポストロフィなどを、WordPress が定義するスマートな表現(例えば、開き・閉じの引用符)へ置き換えた結果を返します。関数内部では、定義済みのマッピングテーブルに基づき、文字ごとに変換処理が行われます。
引き数と戻り値
引き数 | 型 | 説明 |
---|---|---|
$text | string (必須) | 変換対象となる文字列。HTML やプレーンテキスト中の、特定のコード表現と対象文字が含まれることが前提です。 |
$deprecated | bool (オプション) | かつてのバージョンとの互換性のためのパラメータですが、通常は使用しません。 |
戻り値 | 型 | 説明 |
---|---|---|
なし(void ) | string | 引数で受け取った文字列内の特定文字が、適切な HTML エンティティや UTF-8 文字に変換された結果を返します。直接画面出力する場合は、そのまま echo するなどして利用できます。 |
使用例
通常テキストの整形例
<?php
$raw_text = "It's a great day -- don't you think?";
$clean_text = convert_chars( $raw_text );
echo $clean_text;
?>
この例では、シンプルなアポストロフィやハイフンが、適切な引用符やダッシュ(たとえばエムダッシュやNDash)に変換され、デザイン性の高いテキストとして出力されます。
wptexturize() フィルター内での利用例
WordPress は通常、the_content
や the_title
フィルター内で wptexturize()
を通じて自動的に convert_chars()
を適用しています。例えば、テーマのテンプレートファイル内で以下のような出力が行われます。
<?php
// 投稿本文出力時に、フィルターで自動変換される例
the_content();
// 内部的に wptexturize → convert_chars が適用され、スマートなタイポグラフィが実現。
?>
ユーザーが入力したテキストは、表示前にフィルターにより自動的に整形され、引用符や特殊文字が適切な表現に変換されるため、サイト全体で統一感のある出力が得られます。
注意点
重複変換に注意
すでに別の関数(例:wptexturize()
)で変換が行われた場合、さらに convert_chars()
を重ねて適用すると、意図しない変換結果となる場合があります。出力フィルターの優先順位を把握して利用することが重要です。
HTML エンティティとの競合
元々 HTML エンティティとしてエスケープ済みの文字列に対して変換処理を行うと、二重変換が発生しテキストが意図しない形で表示される可能性があります。入力データの状態を確認した上で変換処理することが求められます。
テーマやプラグインによるカスタマイズ
フィルター(例:run_wptexturize
、convert_chars
)を介して、変換テーブルの内容が変更・拡張されることがあるため、独自の表現を期待する場合は設定やフックの確認が必要です。
良く一緒に使われる関数
wptexturize()
$text = wptexturize( $raw_text );
投稿タイトルや本文など、複数のタイポグラフィ変換を一括して行うために利用され、内部で convert_chars()
が呼ばれます。
esc_html()
echo esc_html( convert_chars( $raw_text ) );
変換後のテキストをエスケープして出力するために利用され、セキュリティと整形の両面からテキストを保護します。
sanitize_text_field()
$safe_text = sanitize_text_field( $raw_text ); echo convert_chars( $safe_text );
ユーザー入力のテキストをまずサニタイズした上で、タイポグラフィ調整のために convert_chars()
を適用するという順序で利用されることが多いです。
想定されるトラブル
二重変換による表示の乱れ
既に wptexturize()
によって加工されたテキストに対して改めて convert_chars()
を適用してしまうと、引用符やダッシュが不自然に変換される場合があります。
解決方法
テキスト整形のフィルター設定や優先順位を調整し、適用タイミングを明確にすることで回避可能です。
HTML エンティティへの不適切な変換
入力テキストにあらかじめエンティティとしてエスケープされた文字が存在する場合、convert_chars()
によって元の意図とは異なる記号に変換される可能性があります。
解決方法
入力段階での処理状態(エスケープ済みかどうか)を確認し、必要に応じて変換処理の呼び出しタイミングやフックの利用を見直してください。
Q&A
まとめ
convert_chars()
は、WordPress におけるテキスト整形処理の重要な一環で、入力された文字列中の特定の記号やエンティティをスマートに変換して出力します。
内部で定義された変換テーブルをもとに動作し、wptexturize()
と連携して、ユーザーに読みやすく美しいタイポグラフィを提供するために不可欠な関数です。
テーマやプラグインのカスタマイズにおいても、適切なフィルターを利用することで、変換動作を柔軟に調整できる点が大きな魅力です。さらに、テキストのサニタイズやエスケープ処理との連携を意識することで、セキュリティと整形の両面を担保した出力が可能となり、ユーザーエクスペリエンスの向上につながります。
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