WordPressの apply_filters_deprecated()
は、既に非推奨としたフィルターを維持しつつ、新しいフィルター名への移行を促すための関数です。
古いコードをそのままにしながら開発者に警告を出せるため、テーマやプラグインでの後方互換性とメンテナンス性を両立できます。
目次
機能の説明
この関数は、すでに非推奨となったフィルターを呼び出す際に使用するものです。
以下の2つの目的があります:
- 後方互換性を維持(古いフィルターも動作させる)
- ログによる通知(新しいフィルター名へ移行するよう通知)
主な用途
- フィルターフック名を変更する必要が出たとき
- API変更に伴って古い仕様を段階的に廃止したいとき
シンプルなコード例
$value = apply_filters_deprecated(
'old_filter_name',
[ $value ],
'6.0.0',
'new_filter_name'
);
'old_filter_name'
が非推奨になったことを明示- バージョン
6.0.0
から非推奨 'new_filter_name'
を使用するよう通知- それでもまだ
'old_filter_name'
に登録されたフィルターは有効
使い方の説明
基本構文
apply_filters_deprecated(
string $hook_name,
array $args,
string $version,
string $replacement = '',
string $message = ''
): mixed
引数解説
引数 | 説明 |
---|---|
$hook_name | 非推奨にする旧フィルター名 |
$args | フィルターに渡す引数(配列) |
$version | 非推奨にしたWordPressのバージョン |
$replacement | 推奨される新しいフィルター名(省略可) |
$message | 任意のカスタム警告メッセージ(省略可) |
使用例
$value = apply_filters_deprecated(
'my_plugin_old_filter',
[ $value, $post_id ],
'6.2.0',
'my_plugin_new_filter',
'my_plugin_old_filter は非推奨です。my_plugin_new_filter を使ってください。'
);
一緒に使うことが多い関連タグ
add_filter()
add_filter( 'my_plugin_old_filter', function( $value, $post_id ) {
return $value . '(旧フック処理)';
}, 10, 2 );
add_filter( 'my_plugin_new_filter', function( $value, $post_id ) {
return $value . '(新フック処理)';
}, 10, 2 );
両方のフィルターが有効で、段階的に新しいフックへ移行できます。
追加情報で取得したい場合
apply_filters()
との比較
$value = apply_filters( 'filter_name', $value );
非推奨ではない通常のフィルター適用に使います。
do_action_deprecated()
との違い
do_action_deprecated( 'old_action', [ $arg1 ], '6.2.0', 'new_action' );
値を返さないアクションの場合はこちらを使います。
このテンプレートタグを利用してのカスタマイズ
旧フィルター → 新フィルターの移行通知をログ出力
$value = apply_filters_deprecated(
'legacy_hook',
[ $value ],
'6.3.0',
'modern_hook',
'このフックは廃止予定です。今後は modern_hook を使ってください。'
);
- 管理者が
WP_DEBUG
有効時にログから確認可能 - 大規模なプラグイン・テーマのリファクタリングで役立つ
想定されるトラブル
警告が大量に出力される
apply_filters_deprecated()
を使っても古いフックを多用していると、ログが大量に出てしまい煩雑になります。
解決方法
- 新しいフィルターへの移行を早める
- テーマやプラグイン側で
add_filter()
のフック名を統一する
Q&A
まとめ
apply_filters_deprecated()
は、WordPressのフック移行期において、既存ユーザーの互換性を保ちつつ、新しい実装への移行を促進する強力な仕組みです。
フィルターの刷新を行う際には、単に古いコードを削除するのではなく、こうした「段階的移行手段」を使うことで、テーマやプラグインの信頼性を高めることができます。
コメント