私はデザインするのが好きでWeb業界に入りましたが、
マークアップエンジニアが主な仕事です。
仕事としてデザインをやりたいと思っていたのですが、
2度チャンスがあったのにもかかわらず、
デザイナーに転向する機会を逃してしまいました。
それでもやはりデザインが好きなので、Webデザインの本は昔から読んでいます。
今回北村さんの「ゼロからはじめるデザイン」を読んで、
気になった所をピックアップして感想を書きたいと思います。
第1章デザインについて
先輩からデザインについて最初に教わった言葉が、
“デザインには理由がある。
デザインは1つ1つ意味があり計算されて作られている。
どうしてそうしたのかをデザイナーは説明出来なければならない。”
でした。
北村さんの書籍「ゼロからはじめるデザイン」の「はじめに」のページに記載されている、
デザインには理論がある。
この言葉はまさしく私が尊敬する先輩が私に最初に教えてくれた“デザインには理由がある。”と北村さんの“デザインには理論がある。”と同じ言葉であり、
冒頭から先輩が私にデザインを教えてくれようとした本質が詰まっている事を感じさせ、
懐かしい気持ちになり読むのが楽しみになりました。
デザインとアート
私が最初にデザイナー兼ディレクターの先輩に言われた言葉が、
今までのコーダーはデザイナーがあげたデザインを忠実に再現してくれない。
前は空間1つ1つにpx指定して紙に書いていたけど、○○(=私)は空間制御が身についているから指定しなくても、デザインに忠実にコーディングしてくれるからラクだよ。
と言われました。
私のデザインの根本は書道にあります。
書道は余白も重要な要素の1つであり、
書と落款と余白のバランス、様々な要素を計算して書きます。
ですが、
墨の濃淡や滲み、掠れは計算出来ない一発勝負です。
書く人の表現は自由自在だけれど、
それを見た人と書いた人の心情はイコールにならない事もあります。
書く人が計算して書いたとしても、
それを感じる人がそう受け取らない場合もあります。
それがアートでは許されますが、
デザインはデザイン側の意図が、
見る人に伝わらなかったら、
いくら計算されたデザインでも意味がないということです。
見る人に伝わるように計算するのがデザインだと思うから。
書道は書く文字に意味があり、
それを計算して見る人に伝わるように書いて表現します。
だから見る人に伝わりやすいって言うのはあります。
文字の意味も含めて見れば分かりやすいですから。
ですが、書道はアートでありデザインではありません。
私の場合、潜在的にデザインよりアートが先にきているので、
仕事としてデザインをするのが難しいんですよね(^_^;)
アートとデザインを区別して仕事としてデザインできるようにする自信を持ちたいです。
第3章造形
私が読んだ今までのWebデザインの書籍は、
第2章レイアウトや第4章色が中心の内容が多かったのですが、
造形の基礎を内容に取り入れたデザイン書籍は初めてです。
※あくまで私が読んだ書籍の中で。
実際、アイコンやイラスト、ロゴは別のデザイナーに依頼し、
Webデザインと切り離されている事が多く、
自分で描いた造形をデザインの中に取り入れる事が出来るように基礎として学べる内容を見て、
おぉ!いつものデザイン本とちょっと違う!と思いました。
この章のまとめで、
“造形や記号というのは、元は象形文字に辿り着きます。”
と書いてあるのを見て、
その発想は今も昔も変わらないと思いました。
書道を専門的に学ぶと、
象形文字である甲骨文字も書きます。
ちなみに最古の甲骨文字は5000年前に発見されたものです。
それらが現在文字として読めるのはなぜか?
現代でも甲骨文字が読めるのは、
昔の人の感性が今にも通ずるということであり、
それは誰が見ても理解できるものをデザインする事に通じるのだと思います。
第6章デザインの考え方
デザインには意味がある
人が潜在的に持っているデザインの心理を利用する事が書かれています。
はっきり言って目から鱗でした。
例えば、
非常口の記号やカラーのグリーン色や信号機の歩く記号とグリーン、
信号機の止まれ記号と赤色や、
道路標識の止まれの逆三角記号の赤色などがそれに当たるのですが、
普段見慣れている止まれの道路標識に緑色を使ったら、見る人が混乱してしまいますよね?
小さい頃から認識している誰もが見ている物に逆らったデザインを当てはめてしまうとユーザーにストレスを与えるので、
逆にそれを利用する事でユーザーのストレスを減らそうという内容です。
私は配色に夢中で、
そうした事をつい忘れがちになってしまいますが、
忘れないように滞在的にデザインする事が大事だなと気付かされました。
世界はデザインで溢れている
先輩からいつも何気なく見ているものもデザインの刺激になるから、
常に気を配るように言われました。
先輩自身は気付けば色んな所にデザインが溢れているから楽しいという人でした。
そうしたデザインで溢れている物の中に人の滞在意識というのは存在しているので、
常に意識してアンテナを立てておく事が大事だと思いました。
まとめ
先輩からはデザインの最初の部分しか教わっていないのですが、
その最初のデザインの大事な部分が見事に北村さんが書いた本の内容と一致していたので、
きっと先輩も、この本の内容を伝えたかったんじゃないかと思いました。
この「ゼロからはじめるデザイン」は、デザインの基礎だけでなく、
デザインの概念まで学べるので、
これからデザインを勉強したい人は、
デザインの基礎を学ぶ前に、
「第1章デザインについて」と「第6章デザインの考え方」をじっくり読んでから他の章を読む事をオススメします。
やはり、
デザインの概念が頭に入っているのと入ってないのとでは、
デザインした結果が違うと思います。
常に自分がデザインの概念を意識してデザインをし続けると、
今後の自分のデザイン力を身につける上で成長が違って来ると思うんですよね。
北村さん、素敵な本をありがとうございました!m(_ _)m
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